戸田峠

眺めのよい長い峠

読み方へだとうげ
標高720m
位置静岡県沼津市・伊豆市
道路静岡県道18号線
水系戸田大川・狩野川

実走日2017年5月21日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

戸田峠は、伊豆半島の付け根に近い方にあって、西海岸の戸田と中央部の修善寺を結ぶ街道の上にある峠である。海に近いわりにかなり標高が高いので、ややきついが眺めはよい。眺めは、西側では戸田港を見下ろし、東側では駿河湾と富士山を眺め、……というものだ。

主要な街道であるので、道自体はそこそこ整備され、交通量もけっこうある。

戸田の御浜岬から峠の方を見る

戸田の市街地は湾の海岸線沿いに開けている。湾の口は砂嘴で半分ほどふさがれていて、そこに立つと、戸田の市街地の向こうに山並みを見ることができる。あれのどこかが戸田峠なのだろうが、いずれにしてもけっこうきついな……と思う。ちなみに、このときはよくわからなかったが、奥に見える尾根のうち、戸田峠は、左寄りに見えるくぼみのところだった。市街地の真後ろというわけではなかった。

峠越えをする前日には、戸田で宿泊した。この写真はその日の夕方に撮った。


戸田大川沿いの上り

さて峠越えの当日である。

戸田の市街地で海岸線を離れて県道18号線に入ると、じきに市街地は終わり、道は戸田大川沿いのだらだらとした上りになる。朝っぱらから暑く、けっこうきつく感じる。

考えると、一気に700m以上上るわけだが、路面距離はそんなにないだろうから、あの天生峠――路面距離12kmで800m上った、客観的にどうかはともかく、おれの印象ではとてもきつい峠――並みかそれ以上の峠のはずである。覚悟はしなければなるまい。

路肩にはイタドリが張り出してきており、路側帯の中を走るのは簡単ではない。

しばらく行ったところで振り返ると背後に小さく海が見える。左手の山腹には白いガードレールが見える。まあいずれあれに上るのだろう。


北山の棚田

戸田大川を渡ってカーブを描きつつ斜面の農村風景の中を上る。やはり海と戸田の中心街を見下ろしながらだ。少し行くと北山の棚田の標柱が出ている。どうしようか少し考えたが、せっかくなので寄ってみることにした。

左折して狭い集落道をぐぐっと上るとその棚田の上端あたりに出る。なかなかの眺めである。なおここではさっき遠くに見たガードレールがすぐそこの斜面の上方を通っているのが見える。


北山の棚田を見下ろす

棚田を出発。県道に戻って上りの続きを行く。最初は海が見えるがすぐに見えなくなり、11%の標識が現れ、それからさっき見上げたガードレールの区間を行く。ここからは当然ながらさっき走ってきた道や棚田を見下ろすことができる。

そこからは日陰の少ない林の中の道である。道はずっと2車線あって整備されている。交通量はまあまあ多い。勾配はかなりきつい。道端の斜面にはマルバウツギの白い花が満開である。ハコネウツギもぽつぽつと見かけたが、多くはない。

少し行くと右側によしの滝という看板が出ている。休憩がてら見物することにする。少し沢沿いに歩いて入ると比較的緩い河床勾配の滝がある。これだろうか。看板には徒歩でどのくらいと書いていないので確信が持てない。


海とこれまで上ってきた路面を見下ろす

滝を発つと今度は12%の勾配標識がある。カーブと勾配の両方がきついヘアピンカーブをクリアして上ると真城峠への分岐がある。それ以降は交通量が減るかなと思ったが、そうでもないようだ。

なお山腹を進み、標高500mくらいまで来ると、再び海を見下ろす。手前の斜面にはここまで上ってきた路面も見えている。

この写真は、よく見てもわかりにくいが、海が写っている。と言うよりもむしろ、明るい部分は大部分が海であり、その向こうに駿河湾の対岸の山並みが見えていて、その上に少しだけ空が写っている。


戸田港を見下ろす

ここまで来ると斜面上の折り返しもないので、左が山腹で右が明るく開けた谷間という具合に、道の単調さはやや増す。そしてまあ、思ってもしかたのないことだが、暑い。

10%と11%の勾配標識があり、やがて右側に峠の麓の戸田港を見下ろす大展望が出てくる。自然地形なのだから戸田湾でいい気もするが、小さいので戸田港と呼ぶ方がしっくりくる。

それを過ぎて少し行くと右側に駐車場があり、看板に瞽女展望地とある。駐車場の脇には、雪のときに行き倒れた瞽女をまつったというごぜ観音がある。四国の瞽女ヶ峠も同じような由来だったのかどうか、と遠い昔に越えた遠い峠のことを思い出す。


瞽女展望地からの眺め

この駐車場からは海に向かって木道があり、その先が展望台である。そこからの眺めは、さっきの大展望に似ているが、非常に広々としていて素晴らしい。戸田港からここまで上ってきた道筋までを見渡すことができる。

それを見つつ、パンを食べ、ものすごい勢いで水を飲んで昼食とする。展望はいいが、この展望台にはベンチがない。そして日陰もない。


鞍部

さて出発。あと少しである。このへんまで来ると道端にはけっこうヤマツツジがあるが、ハコネウツギは見かけなくなる。また11%の標識があり、右手前方に尾根道(西伊豆スカイライン)の青い標識が見えてくる。

やがてまた右側に広い駐車場があり、霧香峠という石碑がある。ふむ、この石碑は昨日土肥から戸田まで海沿いに走ったときにあった碧の丘と同じシリーズだな。ここからの眺めは、海は見えるものの戸田港のあたりではない。これならさっきの瞽女展望地の方が眺めがいいが、ここに大きな駐車場があるのには何か理由があったのだろうか。

それを過ぎると100m行ったかどうかで戸田峠の鞍部。駐車場はあるが、林の中で眺めはよくない。昨日の船原峠で見た土肥峠と同じシリーズの戸田峠の標識が建っている。


下りの道

出発。ストレートがちな下りである。右側には谷間があり明るい感じである。


だるま山高原レストハウスからの眺め

少し行くと左側にだるま山高原レストハウスがあり、たくさん車が停まっている。寄っていこう。別にレストハウスの利用者でなくても入れる展望台があり、駿河湾と富士山が見える。

いつだか――秩父の塞神峠のときだ――と同じように、ぶち抜けた感動はない。非常に美しく広々とした眺めであるにもかかわらず。なぜだろうか。しかし、しばしの間それを眺める。


そしてまた走り出す。少し行くと、標高400mあたりで、県道18号が谷間に下りていってしまう分岐があるが、特に標識はない(反対に谷間から上ってきた向きには標識がある)。直進すれば県道ではないが走りやすい道のようだ。どうするか。

少し考え、また眺めもあるかもしれないし、下りだからかっ飛ばせる道の方がいいだろ、ということで直進することにする。

それで実際どうだったか。確かに飛ばせる道ではあったが、ゴルフ場の脇や林の中を行くだけで、眺めはなかった。ここに写真を載せていないことから察していただきたい。

標高差を考えるとあまりにも早く、道は修善寺の温泉街に下ってしまい、県道18号線に突き当たった。ここの標高は90mほどしかない。

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2017年9月28日初版