柳沢峠

不思議な雰囲気の観光峠

読み方やなぎさわとうげ
標高1470m
位置山梨県北都留郡丹波山村・甲州市
道路国道411号線
水系多摩川・富士川

実走日2007年5月27日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

柳沢峠は多摩川の上流域の丹波山村から甲府盆地の塩山に抜ける街道にある峠である。標高の高さは魅力的だが、どう見ても観光峠なので行くのは長いことためらっていた。実際に行ってみるとそれは……観光峠だった!

地形は丹波山側は緩やか、塩山側は急坂で、目立って対照的である。さらにその丹波山側の中でもいろいろと雰囲気が変わり、それはそれで楽しい。

丹波山村の標高910m地点付近

ミニチュアのような丹波山村の市街地を国道から見下ろしつつこの峠を目指して進み始める。だいたい標高は620mなので850mほど上がることになる。

だらだらと緩い上りが続く。道は2車線だがそれほど整備された印象はない。深い谷の中であり、なかなか路面には陽が当たらない。隣には川が寄り添う。水は澄んで美しい。藤やニセアカシアの花が咲いている。トチノキも見えるがまだ花は咲いてはいない。トンネルがぽつぽつあり、容赦なく上りのトンネルである。

おいらん淵に来ると初めてヘアピンカーブがある。このおいらん淵は、武田氏の滅亡にあたって、この付近の金鉱にいた遊女を口封じのために舞台ごと淵に落として沈めた……という説明看板がある。


林の中の道高原風の雰囲気の中のカーブ

ところでこの緩い勾配の連続はどこか北海道風である。このヘアピンだとトーマル峠とか上紋峠あたりか。意味あるのかこんな説明。

そうこうすると今度は林の中の道になる。北海道では道路の上に木が覆い被さるところはあまりないから、ちょっと違うか。むしろここは信州風か。

しばらく人気のない谷間を進んだ後は、ぽつりぽつりと集落が現れてくる。意外と速いペースで標高を稼いでいる。あたりには高原風の雰囲気も漂い始める。


鞍部近くから甲武国境の山脈を眺める

しばらく行くと北側の山脈の眺めなども開けてくる。唐松尾山が目立って見えている。あの山脈の向こうは埼玉県だ。

標高1400m付近ではいかにも新しい感じの橋が架かっており、北海道の三国峠を思い出す。それを過ぎて少し行くと切り通しがあって鞍部に到着。標高差の割には何とも手応えのない峠ではあった。

鞍部は右側に茶屋と駐車場がある。二輪車でいっぱいで特に面白い何ものもない。右前方に狭い角度で眺望があるが、富士山は見えない。晴れていれば見えるべきなのかどうかはよくわからない。


下ってきた道を見上げる

さてここからは塩山まで一気に1000m下る。開けた谷に向かってぐにぐにとヘアピンカーブを繰り返して下りる。上方に下ってきた道を見上げる区間もある。


曲がった橋での豪快な下り

しばらく下ると今度は曲がった橋とトンネルの連発で下る整備された豪快な道になる。これじゃまさに北海道の三国峠だ。こんな道に来てやることはただひとつ、最高速アタックだが、橋によっては縦に溝が彫ってあるので気をつけなければならない。やがて下ってきた山の奥にさっき下った橋を見上げ、そこをバスがのんびり上っていくのが見えてくる。なかなかのスケール感だ。松姫峠とは全然違うものだが。

標高890mの裂石の集落までくると険しい峠道という雰囲気はなくなる。しかしまだ下りは終わっていない。おれはここから県道201号線(一葉の道)にスイッチして走る。交通量は国道よりもはるかに少ない。盆地へダイヴするような急坂ストレートがあり、60km/h以上の速度で下る(直後に急カーブがあるからやらない方がいい――実際にやったあとで反省するのは簡単だが)。

塩山駅に着くと標高は409.9mである。

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2007年8月17日初版 / 2015年1月8日更新