夜昼峠

大動脈の旧道の渋い峠

読み方よるひるとうげ
標高310m
位置愛媛県八幡浜市・大洲市
道路八幡浜市道白尾夜昼峠線(八幡浜市側)
水系千丈川・肱川

実走日2014年9月15日(月)
地図などGoogle Maps地図院地図

予讃線(鉄道)で宇和島に向かったことのある人は――という書き出しは法華津峠と同じだが――大洲と八幡浜の間に長いトンネルがあることを知っているかもしれない。そのトンネルは夜昼トンネルで、この夜昼峠の下を通っているトンネルなのだ。ここには、国道197号線にも長いトンネルがあって、そちらは夜昼隧道というようだが、それも同様だ。

ここで紹介する峠道はその夜昼峠の旧道だ。未整備で、特に変わったところはまあないけれども、峠としての渋い風情のようなものはある。国道197号線はとても交通量が多いので、自転車野郎は、体力が限界ではない限りはこちらを走ろう。

それにしても、この夜昼峠という名前はなかなか魅力的ではある。潮が寄る干る、というのが由来なのかもしれないが、夜昼という集落は海の見えない大洲側にあるので、どうも単純にそうも言えない気がする。まあ、こういう謎めいた峠はいいよね? ということで。

国道197号線を見下ろす狭苦しい風景

この日は伊方で朝を迎えたが、出発する頃になって雨が降り出し、もう八幡浜で輪行して帰っちゃおうかとも思ったが、実際に八幡浜駅に来てみると、ここへ来て夜昼峠を越えずに帰ってしまうことへの抵抗が心に生じてきた。幸いにも今時点は雨は降っていない。それにさっき程度の雨であればカッパを着ていればどうということはない、という余裕めいたものもある。少し考えたが、結局夜昼峠を目指すことにした。

国道197号線は、交通量が多くて、走っていて楽しくない。しかしあらかじめ駅の案内板で確認していた通り、千丈小学校の手前で国道を左にそれて、千丈川の右岸を行くことにして、一息つく。集落の中をじりじり上る。集落を抜けると国道を見下ろす。自動車の走行音がするし、あたりはかなり建物が多いので、決して田舎道という感じではない。ここへ来て雨は上がり、薄陽が射してきた。


谷を見下ろす

斜面に果樹園と人家がある、ちょっと狭苦しい感じの中を進む。国道の騒音は聞こえるが、この道路自体は静かなものなので、雰囲気は悪くない。途中で右手奥にちらと海(伊方方面)を見るところがある。

この道にはいろいろと分岐があり、ところによっては分岐がわかりにくかったりもするわけだが、交差点にお手製の案内図があり、↑夜昼峠 大洲平野と書いてあるのがあり、思わず笑ってしまった。平野? まあ確かに峠の向こうは平野だけど……。


千賀井トンネル

しばらく行くとその騒音は背後に去る。そして林の中にトンネルがある。千賀井(ちがい)トンネルという看板が出ている。それによるとこれは1905年に開通したトンネルで、ループのトンネルとしては現役日本最古らしいとのこと。ちなみに現在の国道197号線のトンネルが開通したのは1971年だそうだ。

そのトンネルをくぐってぐるりと反時計回りにループを上る。あまりループらしい感じはしない。千賀井トンネルの真上を通過するときも、よく注意しないとそれとわからない。


鞍部

それを過ぎるとじきに鞍部だ。左カーブの切り通しだ。路面は何だか妙に土っぽい。


ヒノキの林の中の下り

少し休んで下り始める。路面は土っぽいままだ。周囲は薄暗いヒノキの林で、使われ方はほとんど林道のようなものなのかもしれない。少し下ると右手に人家があり、その向こうに大洲平野方面の眺めがあるが、眺望らしい眺望はそれだけ。

しばらくくねくねと下ると、やがて予讃線の築堤の下をくぐって国道197号線に出る。ここまで来ると標高は30mそこそこしかない。

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2015年5月21日初版