鬼が城山

宇和海の大風景が展開する林道峠

読み方おにがじょうやま
標高1020m
位置高知県四万十市・愛媛県宇和島市
水系渡川・岩松川・須賀川

実走日1995年3月11日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

鬼が城山は、大雑把に言うと、宇和島の市街地の裏山である。近くの鬼北町という町(北宇和郡)に名前が取られていることから考えると、この地域ではそれなりに名前の通った山のようである。

この鬼が城山の山頂の直下の西側斜面には林道があり、四万十川の流域と宇和島の市街地をつないでいる。ここで紹介するのはこの道の話である。

この道は、おれが越えた頃は、黒尊スーパー林道として有名だったが、今はどうなのだろうか。かつてはロングダートで、四国では剣山スーパー林道と並ぶ存在だったそうだが、おれが行った時点でかなり舗装化が進んでいた。もしかしたら今は全舗装かもしれない。

高知県側の深い山の雰囲気はどこか九州の椎矢峠に似ているが、こちらにはそれに加えて宇和海の展望があり、四万十川流域の清澄な雰囲気もある。

高瀬沈下橋

このときは高知側から上った。というわけでお約束の沈下橋。この辺にはこれに類する橋が多くあり、それらを見ていて気づいたことは、

もっとも、この峠道の入口の口屋内という集落には、沈下橋の隣に赤い鉄トラスの橋もあるので、怖ければそちらを渡ればよい。

それにしても、この四万十川流域の一帯は、本当に走っているだけで心が洗われるような心地がする。川がというより、目に映るものすべてが透き通って見える。行ったことのない人はぜひ。


黒尊渓谷

口屋内からは四万十川の一支流の黒尊川の谷を詰めていく。田舎なのだが人家は多い。沈下橋がポツポツあり、段々の田んぼがあり、その縁は石垣。道は1.5車線が主体だが、ところどころ2車線の新道も混ざる。奥屋内まで来るとへき地診療所なる名前の建物がある。

やがて人家は減り、左に黒尊渓谷が現れてくる。じゃばじゃばと水の音がし、ガードレールはほとんどない。右手では水が岩肌を伝って勢いよく流れ下っている。


高知県側の山容

いかにも林道らしく、木材搬出作業にも出会う。黒尊川は左手はるか下方に去り、左に深く広い谷の眺めが出てくる。坂もきつくなり、突然アスファルトが切れダートが始まる。


高知県側の荒れたダート

なかなか荒れたダートで、とがった石がごろごろしている。落石もそのままだし、ガードレールももちろんない。勾配もきついのでゆっくり上る。尾根が近く、空が広い。

やがて、ヘアピンカーブを曲がって上りきると愛媛県津島町(北宇和郡。現在は宇和島市)の標識があり、道は再びアスファルトに。ここの標高は850m。樹間に宇和海が見える。しかしまだ鬼が城山北西麓に向けて上りは続く。


宇和島市街の展望

鬼が城山の北西麓がこの道の最高所である。左手には宇和島の市街、そして島々の浮かぶ宇和海を見下ろす。開放感のある大展望だ。


鬼が城山北西麓

最高所からは山腹の平坦な道を走って鬼が城山の北麓へまわる。路肩に雪が残っていて路面は濡れていたし、濡れた岩肌が凍りついてつららが下がっていた。宇和島では関門海峡を通過した冬の季節風が山塊に衝突するので思いのほか雪が降る……と聞いたことがあるが、ちょっと納得する。

しばらく行くと道は急な下りに。非常に寒かったが国道320号線にぶつかるまで快走する。国道320号線に入って宇和島市街へは8%の下りもあり、これもまた快走。ただ、宇和島市街の国道320号線はまるで冗談のように狭かった。

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2002年1月7日初版 / 2010年4月7日更新