田ノ入峠

遊歩道のような里山の峠道

読み方たのいりとうげ
標高830m
位置長野県安曇野市・北安曇郡池田町
水系信濃川

実走日2003年3月30日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

犀川とその支流である高瀬川は、だいたい平行(ただし反対向き)に流れており、その間には標高1000m内外の丘陵がある。この界隈には、けっこう味のある峠道が多く、松本在住の探訪派自転車野郎としては、春の足慣らしに、ちょっとした気晴らしにと、ありがたく活用させていただいていたものだった。

この田ノ入峠は、そんな峠道のうち最も南に位置する。一応車道だし、一応全舗装なのだが、この一応というところに真実がある。

明科側の入口

おれは明科(安曇野市)の国道19号線からこの峠を目指した。最初の試練は、入口探しである。おれは大縮尺の地図(2万5千分の1地形図)を持って行ったのだが、最初は入口が分からずに通過してしまった。

で、正解だが、写真の横断歩道のところを左折して路地を進んで行けばよい。なお、路地の入口には大穴山 泉福寺の石柱がある。また、近く(撮影者の右背後)にはヤマザキショップがある。

余談だが、1994年の秋に初めて長野県を自転車で走ったとき、このヤマザキショップの軒先で雨粒の落ちてくる空を見上げながらカッパを取り出して着たのだった。あのときはまさか自分が松本に移住しようなどとは考えていなかった。まあよくあることか。


金井沢の集落

集落を抜けて川沿いに上っていく。それなりの勾配だ。やがて金井沢の集落に到着。ここからは上りの本番だ。いきなりものすごい勾配で高度を稼ぐ。15%は下らないだろう。

やがて、東の聖山方面の眺めが出てくる。手前の尾根には民家がへばりついている。田の入の集落だ。


1車線の上り

泉福寺の入口を過ぎると、道路状況はいっそう悪くなった。完全1車線のコンクリート舗装。しかも落ち葉に覆われている。側壁も土が剥き出し。まるで遊歩道だ。舗装された車道としては最悪の部類に属するだろう。……といっても、最強の小結みたいで迫力ないが。

しばらく上ると、左側から道路が合流してきた。見た感じはおれの走っている道が左側から来た道に合流しているように見えるのだが、道なりにまっすぐ行くと田の入の集落に行ってしまう。150°くらいの切り返しで、合流してきた道に入る。

ここまで来れば鞍部はもうすぐだ。振り返ると木々の間に明科方面の眺めがある。


鞍部

道路の状況は先ほどより少しよくなる。田の入の集落の人は、明科側ではなく池田側に下ることが多いと見える。

やがて切り通しの鞍部に到着。やはり木々の向こうに安曇野の景色が広がる。正面に見える山は有明山だ。

上りと同様にくねくねと曲がりながら下りる。一瞬椎矢峠を思い出すが、あれとはスケールが全然違う。何だか子どもが大滑り台を滑り下りてはしゃぐときのような(そういう体験があったかどうかは覚えていないが)わくわく感がある。

高瀬川沿いの平地まで下ってしまうと、標高は570m程度。おれはここから川沿いに松本へ帰ったが、左側に越えてきたばかりの尾根を見つつ進むことができた。

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2003年4月26日初版 / 2015年1月8日更新