三才山峠

尾根伝いにのみ到達できる忘れ去られた峠

読み方みさやまとうげ
標高1500m ※鞍部の標高です。
位置長野県松本市・上田市
道路林道蝶ヶ原線
水系信濃川

実走日2002年9月21日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図
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三才山峠は松本と上田の最短経路上にあった峠である。江戸時代にはよく使われていたそうだが、現在は峠道は放棄され、峠へは尾根伝いに到達するしかない。つまり木ノ芽峠と似たような境遇である。

ほとんど誰も来ないダートの尾根道を走り、足元を貫く騒々しい新道との鮮やかな対比を見ながら休憩する……というのは、峠は越えるもんだという考えからは邪道には違いないが、また味のあるものではある。

ちなみに、新道である三才山トンネル有料道路は、自転車の通行が禁止されているわけではないが、交通量が多い上に勾配がきつく(標高は1100mもあり、これは青木峠より高い)、長いトンネル(2511m)もあるので、自転車での通過は避けるのが賢明だろう。おれはやったことがないが。

林道蝶ヶ原線ススキとトンボ

三才山峠に稜線伝いに到達する林道蝶ヶ原線は、保福寺峠から三才山峠を経て武石峠へ続いている。おれは保福寺峠側からこの峠道に入った。保福寺峠の鞍部から100mほど松本側に入口がある。真新しい木製の看板が出ているので、見逃すことはないだろう。

道は最初からダート。岩盤が剥き出しているかと思えばぬかるみもあり、走りやすくはない。はじめだけ保福寺峠と同様に北アルプスを眺めつつ行くが、林の部分が多く、なかなか展望は広がらない。ただ、いかにも尾根下道らしく、空の広さを感じる。秋らしく、ススキの穂が微風に揺れている。


松本側の眺望三才山トンネル有料道路を見下ろす

道が尾根を越えて上田側に出ると、遠くからぶいぶいという音がする。展望が開けてから眺めてみると、眼下に三才山トンネル有料道路と、そこをひっきりなしに行き交う自動車が見える。別天地。下界を見下ろしつつゆったりとペダルを踏むのは楽しい。

再び尾根を越えて松本側に出ると、今度は道路のない静かな谷の眺めが広がる。静けさゆえに、堂々とはりめぐらされた送電線にやけに存在感がある。

道は再度上田側に出て、三才山トンネル有料道路の橋梁を間近に見下ろしつつ、ヘアピンを上る。黒く塗装された反射板みたいな構築物がある。


鞍部

ヘアピンをクリアすると鞍部に到着。稲倉峠と同じシリーズの看板と石柱があるほか、三才山トンネル通過地点という看板もある。このトンネルは律儀に鞍部の真下を通ってるのか? と思いつつ地図を見ると、本当のトンネルの通過地点は200mくらい離れている。

ここから道はしばらく尾根の松本側を進む。松本側の三才山トンネル有料道路や、烏帽子岩という変な形をした岩を眺めることができる。谷の向こうには松本盆地の穂高市街方面への広がりも窺えるが、遠くは霞んでいてはっきりとは見えない。


林道蝶ヶ原線終点

やがて展望のない森の中で林道蝶ヶ原線は終了。ダートも終わる。ここからは県道464号線である。鹿教湯の方に下りる道は、しっかりとした鉄ゲートで封鎖されている。ここの標高は1600mなので、武石峠に向けては200m以上のアップだ。

この県道464号線の上りはなかなか楽しいものだった。ガードレールなどない完全1車線の道。路面中央部にはコケが生えている。両脇はやや薄暗い林。シラカバがとても涼しげだ。

県道62号線に合流してさらに上ると武石峠に到着。おれは松本側に向けて下ったのだが、ときどき右手にさっき走ってきた林道蝶ヶ原線やそこで見た烏帽子岩を望むことができた。

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2002年10月31日初版 / 2015年1月8日更新