平丸峠

潤沢な清水のある里山の峠

読み方ひらまるとうげ
標高810m
位置新潟県妙高市・長野県飯山市
道路新潟・長野県道412号線
水系関川・信濃川

実走日2003年8月3日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図
関連書籍信州百峠

平丸峠は関田峠の西隣にある信越国境の峠。地図上では、主要地方道である関田峠よりもいっそうマイナーな雰囲気が漂っているが、実際その通りと言えるだろう。

雄大で不思議な感じのする関田峠と比べ、この峠には里山風の簡素さ、軽快さを感じる。清水があるのもポイントだ。

妙高山を眺めながら行く

新井の市街から国道292号線を南下する。新井駅の標高が60.3mだから、峠への上りは750mということになる。

広くてだらだらとした上りの続く走りやすい道である。やがて中郷への道を分けると、もともと少なかった交通量はさらに少なくなった。路肩は狭くないし、だらだら勾配も妙に楽しく、快走する。

国道は涌井峠越えで飯山に向かうが、おれは途中で左折して県道412号線に入り、平丸峠を目指す。ここからは道はいよいよ山道っぽくなる。道は狭くなり、平丸川の渓谷沿いの田んぼを見ながらじりじりと高度を上げていく。振り返ると妙高山が見える。写真は、左の山が妙高山で右のが火打山だ。


白岩清水

短いトンネルを抜けると、左側に白岩清水という清水があった。屋根がかけられなかなか整備されている。清水の出口が分福茶釜になっているのもお茶目だ。

それにしても暑い夏の朝の峠道の、この清水のありがたさ。これは前日の熱風の関田峠には決してなかったものだ。


田んぼの脇の急登坂

白岩清水を過ぎると平丸の集落。それを過ぎると、勾配はめちゃくちゃきつくなってきた。人気のない段々の田んぼの中である。これ20%近いよな? と思う。これでも川沿いの上りなのだ。

めちゃくちゃきつい勾配のヘアピンをクリアすると、びょうぶ岩公園があった。芝生や池などがあり、なかなか整備されているが、誰もいない。見ると平丸川は見上げるような岩をぶち抜いて滝になって流れ落ちている。……自然にこういう地形ができるわけないよね?


木曽清水

そのあとも猛烈な上りが続く。びょうぶ岩が後ろに去って少し行くと、右側に木曽清水があった。こちらは屋根などのない簡素な清水だ。看板によると、木曽義仲がここを通ったとき、あまりの水のうまさに木曽清水と命名……とのこと。清水を守るように大きなサワグルミの木が生えている。そして隣の斜面にはニセアカシアがびっしり。

そのあと少し勾配は緩くなる。明るい林の中の道が続く。しばらく行くと県境を越える。しかしまだ上りは終わらず、谷底走行も終わらない。関田峠とはかなり違う。大望峠白沢峠の対比を思い出す。

少し行くと道はようやく谷底を離れて山腹に上りついた。展望が広がるが、やや平凡な谷の眺めである。やがて右側に桂池が現れる。そのあとぐっと上るとそこが最高所だった。しかし標識看板の類は何もない。


飯山側の展望

下り始める。ちらちらと飯山方面の眺めがあるが、ここという展望地はない。それでもカーブはまるで明るい空に続いているようで、開放感がある。

やがてスキー場のゲレンデの中の走行になる。展望が一気に開ける。ガードレールもカーブミラーもない細い道が草原の中を進む。新潟側のある意味やさしき峠道とは全然違う、清澄で明るい雰囲気がある。

地図には腹薬の清水というのが掲載されていたが、おれは発見することはできなかった。あったとしたらゲレンデのまんなかだと思うのだが……。

県道408号線に突き当たると峠道は終わる。この地点の標高は310mあまり。ここから飯山の市街へは緩いアップダウンを越えていく。

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2003年11月29日初版 / 2010年4月7日更新