内海乢

急峻な地形の田舎の国道峠

読み方うつみたわ
標高640m
位置鳥取県日野郡江府町・岡山県真庭市
道路国道482号線
水系日野川・旭川

実走日2011年10月18日(火)
地図などGoogle Maps地図院地図

内海峠は鳥取県西部の日野川の川筋から蒜山高原に抜けるところにある峠で、大山の中腹を行くのでない限り迂回路はない。したがって非常に利用価値の高い峠である。すごく楽しい峠か、と言われるとそうでもないのだが、国道の割には交通量は多くないし、鳥取県側の急峻な道の様子がなかなか面白いので(ただし路面の勾配自体は緩い)、国道だからといって毛嫌いすることはないと思う。

おれはコース選定の都合上、この峠を2日連続で越える羽目になった。初回が10月17日で2回目が10月18日だ。このサイトでは、ひとつのページは一度の峠行きに基づいて書くことにしているのだが、麓から完全に走ったのは初回、天気がよかったのは2回目、という事情があるので、今回は特別に両者を合併して書かせていただくことにする。

なお、実走後の2012年4月15日に、峠の鳥取県側(上記の道の様子がなかなか面白い側)の下蚊屋(さがりかや)バイパスが開通してしまったので、ここに書くことは一部昔話である。おれが走った道が閉鎖されたわけではないとは思うが。

前方上方に橋を見上げるアケビ

1回目の峠越えである10月17日には、鳥取県側の麓である江尾(えび)から上り始めた。江尾駅の標高は146.3mだ。地図を見つつ、国道は避けて船谷川沿いに上っていこうかと考える。

駅から町並みの中を直登し、一気に国道482号線に出る。それを横切り、船谷川の左岸を行く。頭上を高い橋が2本通っている。手前のは米子道だが、奥のは何だろうか。狗留孫峡(温迫峠参照)で見たような農道だろうか。

道はすぐに船谷川の右岸に移る。いつ切れてしまってもおかしくない1車線路が続く。しばらく行くと対岸に農地が現れ、道路があるのが見えてくる。やがて法面が崩壊していて土砂が路面を覆っており全面通行止とある。その直前に橋があり、渡った先に船谷川の左岸を行く道があったので、そちらにスイッチして進む。

ちなみにこの周辺にはとてもアケビが多かった。


助沢

やがて道はまた右岸に移り、杉谷の小さな集落を過ぎ、また船谷川を渡って県道315号線に上りつく。黄緑色のランガーの(阿賀野川の阿賀浦橋によく似た)南大山大橋を渡り、ついに国道482号線に合流する。

左折してじりじり上る。2車線。交通量は特に多くはないが大型車の比率は高い。やがて上下線に分かれた苦﨏隧道に到着する。銘板にはにがさこずいどうと振り仮名が振ってある。短いし路肩も広いので通過はたやすい。

それを抜けると道は下り、右に助沢への道を分けて直線でドーッと上る。立派な道だ。それは避けて右にそれて助沢の集落の中を行く。地図をろくに読まずに、このままこの旧道で下蚊屋の集落まで行ってしまうか……と思っていたが、やがて道はでかいダムの直下でぶっつりと切れてしまう。下蚊屋ダムだ。それで国道があんなに立派になっていたのか。

引き返して国道の助澤大橋の下をくぐり、国道に左から再合流する。


下蚊屋の集落

少し行くと下蚊屋ダムだ。天端の標高は497.5m。ダム湖の向こうに米子道が見える。

ダムを過ぎるとじきに下蚊屋の集落だがバイパス道路もある。さっきの助沢の反省もあり、集落の中は通らずにバイパスを行くことにする。その瞬間に、背後から突然大音量のど演歌の猛射を受け、あえなく心停止しそうになる。後ろから来た移動販売車が下蚊屋の集落に入るにあたって音楽をかけ始めたのだ。ボディーのデザインはファンシーなのにこれは……。

そのバイパス道路は下蚊屋の集落を右下に眺め下ろしつつ行く。その向こうには立派なコンクリート橋がいくつも架かっているが、通る車がほとんどないことから考えると建設中らしいとわかる。このバイパス道路も少し行くと工事中になっており、結局下蚊屋の集落まで下ろされた。上り損だ。

実走から半年足らずでこのバイパスが開通したのは最初に書いた通り。


下蚊屋の集落の向こうに大山と烏ヶ山を見る

さてここからの記述は翌日である10月18日にバトンタッチする。この日はここまでは見返峠を下ってきてやってきた。

この地点の標高は510m以上あり、ここからは内海乢の最後の上りだ。カーブはきついが道幅は2車線あり、勾配もそんなにきつくはない。どうしてこの道路に付け替え工事が必要なのかよくわからない。眺めは多少いいかもしれないが。

しばらく行くと見事な緩勾配の180Rのカーブがある。その外側からの眺めはいい。下蚊屋の集落を見下ろし、その向こうに大山と烏ヶ山を見る。


180Rの緩勾配のカーブ鞍部

その180Rの緩勾配のカーブを過ぎて少し行くとじきに鞍部である。県境であることと標高が640mであることは標識でわかるが、峠名を示すものはない。


蒜山高原への下り

下り始める。多かった大型車の大部分はさっきの工事現場までのようであり、交通量は少なくなる。最初だけ浅い谷の眺めがあり、その後は土塁の下のような明るい谷底を行く。あまり両脇の斜面には木はなく、ススキが多い。やがて盆地が始まる。蒜山高原だ。

おれはこのあとは野土路乢に行くために右折して県道58号線に入った。その交差点の標高は500m弱だ。

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2013年3月14日初版