庵谷峠

峡谷を見下ろす小さな峠

読み方いおりだにとうげ
標高320m
位置富山県富山市
水系神通川

実走日2011年10月9日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

庵谷峠は、高山本線の猪谷駅(かつて神岡線が分岐していた)の北側で神通川が大きく屈曲しているところにある小さな峠である。

特に北側に、神通川が刻む谷の眺めがある。交通量の多い国道41号線を避けるには格好の峠道だろう。しかしおれはクマに会ったので、無条件におすすめとは言いかねる。

庵谷峠の峠道の入口

おれは飛騨から宮川沿いに下ってきて、庵谷峠の南側の猪谷で国道41号線に合流して北上した。交通量は多い。

クラシカルな猪谷駅(標高は217.0m)を過ぎると、いきなりシェルターがある。それを抜けて少し5%の上りを進むと道の駅の手前に庵谷峠登り口の標柱や県定公園神通峡 庵谷峠(いおりだにとうげ)の看板が出ている。それで左にそれてその道に入る。


1車線の上りを行く神通川第一ダムのダム湖を見下ろす

最初は片掛という集落の中だが、寺を過ぎると山道になる。右手に国道41号線、さっき抜けてきた片掛の集落、神通川第一ダム、そしてダム湖を見下ろす。やがてその眺望がなくなると鞍部である。標高差がないのであっという間だ。


鞍部展望台へ上る途中からの眺め

鞍部では正面やや左側に神通川の峡谷を見下ろす。これは神通峡と呼ばれる峡谷の一部である。

手前の低いところに赤いトラス橋が、そして向こうの高いところに国道41号線の立派なアーチ橋が、それぞれ架かっている。意外と開けた風景だ。昔行った石川県の手取川渓谷で、周辺の風景があまりにも深山幽谷的でないので驚いたものだが、あれに似ている。

展望台もあるようなので歩いてみることにする。けっこう急な階段が折り返しながら意外と長く続く。登っている途中から見晴らしはどんどんよくなってくる。頂上に着くとコンクリート製の展望台がある。それに登ってみてもまあここに来るまでと眺めはあまり変わらない。


スギ林の中の下り

下りは細いワインディングだ。薄暗いスギの林が続き、右手にちらちらと渓谷の水面が見える。と、左側のコンクリートの被覆をカツカツと音を立てて登っていく動物を見る。最初は大津峠のようにカモシカだろうと思ったのだ。が、どう見てもヤツはクマだった。

今年は釣瓶落峠でもクマを見たばかりなので、こう思うわけだ。そろそろヤツに殺られる日も来てしまうのではないか、と。


トラス橋から水面と庵谷峠を見る

やがて道路は国道41号線を跨ぎ越し、それに右から合流しそうになるが、その直前で右に曲がってそれを避ける。地図に国道の対岸を行く道が載っているのでそれに入りたいのだ。

その次の突き当たりは右折すると国道の橋(庵谷大橋)のたもとに出てしまう。左に行くのが正解で、発電所の看板があるのでどうやら正しい道に来たようだとわかる。一気に下り、やがてさっき見下ろした赤いトラス橋を渡る。発電所の建物が右手にあり、その向こうにさっき越えてきたばかりの庵谷峠の鞍部がある。こうして見るとなかなか山深い印象がある。

この橋の標高はもう130mくらいしかない。ここからは海岸まで、二度と国道41号線を走らないで行くことができる。

© 2012 tfi72. All rights reserved.
2012年3月22日初版