美女峠

あっさりとした中央分水嶺の峠

読み方びじょとうげ
標高860m
位置岐阜県高山市
水系木曽川・神通川

実走日2003年9月27日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

美女峠は、野麦峠から高山市の市街地を目指すときに通過する中央分水嶺の峠である。あまり整備はされていない様子である。峠としては楽なもので、特に野麦峠側から来ると、標高差150m程度の上りしかないのであっさり終わる。

おれが行ったときにはこの道路は国道361号線であり、迂回路もなかったのだが、2004年9月21日にこの峠の西隣にふるさと農道の長いトンネル(飛騨ふるさとトンネル)が開通し、そしていつかはわからないがそちらが国道に指定されたようで、この峠道はただのローカル道路に転落した。したがって、おれが訪ねたときよりもさらに寂れている可能性が高い。

なお、おれの手元にある2009年版の昭文社ツーリングマップル中部北陸では、この峠道はまだ国道361号線のままになっている。

このかなり変わった名前の由来については、昔(1990年代後半?)の讀賣新聞の日曜版(だったと思う)の、姓氏研究家丹羽基二氏による名字百科という連載で取り上げられていた。それによると、美女とは濡れたさまの当て字で、いまでも『びしょびしょ』などというとのこと。この記事は美女という姓についてのものだが、美女木、美女山、美女塚、美女峠などの地名もあるという記述がある。

南側の入口

おれは野麦峠から下ってきて、近づく日没にあせりながらも、この峠を目指した。

すでに高山市の近郊のような雰囲気もある村落(当時の大野郡朝日村の中心部で、標高は720mほど)を過ぎて、美女峠へのコースを取る。標識では、高山への標準ルートは、国道361号線経由(美女峠経由)ではなく、国道41号線に出て宮峠経由で高山に出るルートになっている。

2車線の立派な道を上り始める。この先車道幅員2m箇所ありというような標識がある。本当かね? と思いつつ、ヘアピンをクリアして進んでいく。太陽はちょうど山の端に隠れたあたり。夕焼け雲を背景に、道端のススキがシルエットになっている。


林の中の2m道路美女ヶ池

やがて、本当に道は狭くなった。薄暗い林の中に、完全1車線の細い道が続いている。ただ勾配はきつくない。広狭を取り混ぜて道は進み、じきにあたりは少し開け、小さな池のはたに出た。

このまま高山まで行っても寝る場所のあてがないので、ここでキャンプをすることにする。看板によるとキャンプは1人500円で、美女高原ロッジに申し出てください……ということだが、美女高原ロッジという看板を出した木造の建物は既にカーテンを下ろし人の気配がない。またか! と思いつつダマテンを決め込む。ごめんなさい。


鞍部下り

朝になり出発。道端に芝生があり、美女高原園地と看板が出ている。こちらは200円でテントを張れるようだ。

少しだけ上り、美女峠の鞍部を越える(当時はここが大野郡朝日村と高山市の境界だった)。薄暗い林の中を折り返して下る。舗装状態は南側よりも悪い。やがて林を抜けて薄日の射す崖の中腹を走る。里山風だった朝日村側とはだいぶ雰囲気が違う。走っていくと少しずつあたりが開けていく。

道路が川沿いの狭い平地に落ち着くと、峠道は終わる。標高は600mあまり。

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2004年7月7日初版 / 2013年12月26日更新